変わる、ということ 〜 臨床の場から


むかし、あるご相談者の方が、
こんな話しをされたことがあります。

その方とは、二年くらい面談を続けてきて、
その最後の頃のことです。

カウンセリングをはじめる前には、自分が変わる時ってい
うのは、きっと厚い雲を突き抜けて、目の前にパッと青い空が
広がるような、解放されるような、そんなイメージを持ってた
けど、そういうものではないのかなって、
思うようになりました

とても楽になった感じがあります。
でもこんな楽でいいのかなって、まだ思うことがあるんです

おおよそ、こんなことを打ち明けて下さいました。

その後、幾人かの方から、
面談を続けてきた期間はそれぞれ違っても、
やはり同じような内容の述懐を、
お聞きする機会がありました。

そこで、わたしは、このようにお伝えすることにしました。

変わるっていうのは、たとえていえば、
 当たり前になることなんですね
と。

たとえて云えば、当たり前になること ・ ・ ・ 。

それはわたしが、ご相談される方たちから
教えてもらったことです。

  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

こうしたお話を、
ある女性のご相談者の方にしたところ、
「最初の頃に聞かされなくて良かった」と
云われたことがありました。

「最初の頃に聞いていたら、当たり前になるなんて、
それだけはイヤだからこれまで頑張ってきたのに、って
思ったと思う」と。

  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

もちろん、そこには紆余曲折があります。
道のりがあります。

そして人によって、道のりに違いがあるかもしれません。

たとえば、「 青森 」まで行かなくてはならないとします。
秋田や山形から出発する方もいるでしょうし、
上野だとか長野から出発する方もいるでしょう。

人によっては、神戸や鳥取、
九州から出発しなくてはならない方も、いるかもしれません。

それもまた、ひとつの「 旅 」なのです。

  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

自分を変える、自分が変わる。

こうした言葉は、スピリチュアルやセラピー、
特に自己啓発関係では、よく耳や目にする言葉です。

( ありのままの自分を認める、もそうですね )

でもそれは、
「 机上の理屈 」で語っているものと、
わたしがカウンセリングという経験から得られる理解とでは、
ずいぶん違うものだなあ、という印象があります。

先日、カール・ロジャースという人の
「 クライアント中心療法( 岩崎学術出版社 )」という本を、
読んでいたときです。

その中に、ちょうど上に記したことと、
同じようなことが語られている個所を発見して、
少し驚いた経験をしました。

それは、ロジャースが論じた部分ではありません。

三十代後半の或るクライエントの女性が、
カウンセリング終結の三ヶ月後に、
自らの体験を振り返って書いた文章の中に、発見したものです。

面接は、計8回をもって終えています。
彼女は、こう書いています。

多少落胆していたのは、改善への兆しが自分では見えてこなか
ったことです。
わたしは、変わるというのは、ああそうか !! の連続で心に刻
み込まれるようなものだと、期待していたのです。そのため、
まったく自然な形で自分に生じていた変化を、最近まで気づか
なかったのです。
あまりお喋りではなくなって、以前より楽になり、大勢の中で
目立とうとする傾向もなくなりました。そんなふうに変わって
きたことを、ちょっぴり寂しく感じられるくらいです。
自分がこんなにも変わりつつあることに突然気づき、とても
いい気分でした。
そして以前のように、自分のことを意識することなく、人に対
して関心を向けられるようになりました。


面談は8回ですが、
彼女も途中でひどい「 風邪 」にかかったり、
「 旅 」していることが分かります。

 

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