人間関係の悩み


わたしたちにとって、人間関係での悩み、
人との関わりから生じるフラストレーション、
人間関係から生まれるネガティブ感情は、
日々抱えるストレスの中でも、
最も現実的な部分を占めているものです。

「 人疲れ 」という言葉もあるくらいです。

人間関係の悩み、というものを考えるとき、
こんな言葉があります。

わたしたちは自分と折り合いをつけられる程度でしか
 他人と折り合いをつけられない

カウンセリングの場でお会いするきっかけには、
大きな意味で捉えると、
自分自身について」というものと、
人間関係にまつわること(人間関係の悩み)」という二つが、
あるように思います。

そして、この二つは、もしかすると
どこか根っ子のつながったところが、あるかも知れません。


【 自分自身との関係 】

わたしたちは自分と折り合いをつけられる程度でしか
 他人と折り合いをつけられない

これは、もともとは
フランスのヴァレリーという人のコトバです。

人間関係の悩みとは、もしかすると
自分と自分自身との関係の悩み 」ということでも、
あるかもしれません。

わたしたちには、
「 他人と自分との関係 」というだけでなく、
「 自分と自分自身との関係 」というものが、あるからです。

そういう意味で云うと、
「 人間関係の悩み 」の根っ子には、
「 自分と自分自身との関係 」というものも、
あるかもしれません。

そう考えてみると、なにか大切な糸口が、
少しずつ見えてくるような気がします。

自分自身との関係( あり方 )というものと、
人との関係( 人との関係のあり方 )というものが、
合わせ鏡のように、お互いに照し合っている。

外を見ると一緒に内が見え、
内を見ると一緒に外が見える
( 高村光太郎「牛」)

そういう意味から見ると、たとえばですが、
「 人にやさしくする 」ことが目標なのではなく、
「 自分にやさしくできること 」が大切なテーマ、
なのかもしれません。
それが合わせ鏡のように、自然にもう一方を照すことになる。

 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

こうしたことを書いているわたし自身、
いまはそれなりの歳になってしまったので
神経が多少太く( 図々しく )なりましたが、

もっと若い頃は、人との距離がうまく取れなかったり、
人付き合いに悩むことが多かった気がします。

それは、自分が自分を扱いかねていた、
とも云えるかも知れません。

【 一番人間らしくある悩み 】

わたしたちは自分と折り合いをつけられる程度でしか
 他人と折り合いをつけられない

ヒトと、他の動物とを分かつものの一つが、
「 自分と自分自身との関係 」という在り方( 観念 )の
存在です。

ですので、自分と自分自身の関係、というテーマは、
とても人間らしいテーマなのです。


【 変わるとは、少しだけ変わること 】

よく聞く言葉に
「 他人(人)は変えられない 」という言葉があります。

あまりにもよく耳にする言葉で、
まるでキャッチフレーズか、「水戸黄門の印籠」のように
なっています。

同じように、「 自分を変える 」などと考えると、
とても難しく思えてしまうかもしれません。

でも 「 自分自身との関係 」ということであれば、
きっとなにか変えていけるかもしれない。
なにか出来ることが、きっとあるはず。

「 自分を変える 」というのではなく、
自分自身との関係を、少しだけ見てゆく。

そんなふうに考えてみると、どうでしょう。

変るとは、実はほんの少し変ることなんです。
 そして、ほんの少し変るだけで、いろいろなことが変化して
 いくのです

( 上野千鶴子・社会学者 )


【 自分と付き合っていく 】


人間関係というのは、
心のパターン
最も敏感にあらわれやすいところでもあります。

わたしたちは、生きている限り
自分自身と付き合いながら生きて行くものです。

ですので、できれば
よりよい付き合い方をしていきたいですね。

わたしたちは自分と折り合いをつけられる程度でしか
 他人と折り合いをつけられない

というコトバも、
同じことを語っているのかも知れません。

「 こうすればもう人間関係で悩まない 」
「 これで二度と人間関係で悩まなくなります 」
などという特効薬はないかも知れません。

でも、そうした少々現実離れした「特効薬」ではなく、
少しずつ、ちょっとずつ、
前の自分より、折り合いをつけられる自分になってゆく。

自分を大切にしながら、それと共に
折り合いをつけられる幅が、少しずつ、広がってゆく。

それが、わたしたちのテーマかも知れません。

カウンセリングをしていると
自分を一番誤解していたのが実は自分自身だった、
ということは案外多いものです。


ヴァレリーの言葉は正確には次のようになります。

 人は他者と意思の伝達がはかれる限りにおいてしか、
 自分自身とも通じ合うことができない。
 それは他者と意思の伝達をはかる時と同じ手段でしか
 自らとも通じ得ないということである。
( 中井久夫 訳 )

( 初稿 2011.9 )



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