ストレスチェック解説

 

1番は、自己抑制の程度をみるものです。別名「イイ子度」とも云います。

筑波大学の宗像教授によって名付けられました。


自分の気持ちや思いを、どの程度抑えて、相手や周囲に合せようとするか、

その程度をみるものです。

イイコ度が高くなるに従って、周りの人や相手から嫌われないために・・・

受け入れてもらうために・・・、気に入ってもらうために・・・

自分の気持ちや感情を過度に抑えてでも、

相手や周囲に敏感に合わせてようとする傾向が強くなります。


たとえば、イイ子度が高い方は

相手から何かを言われたり、されたりしても、

上手に言い返せないことが多く、そのため

葛藤やストレス、わだかまりが増すことになりますし、

なにより、そんな自分自身を好きになれません。


逆に云うと人によっては、我慢強い人、辛抱強い人と見られることもあります。
 

日本人の場合には、あらゆる年代を通して6割から7割近くの人が

7点〜10点の範囲に入ることが分かっています。

云い方を変えると、この範囲に入っていれば、

日本社会では一応、無難に適応していられると云えるかも知れません。


しかし、7点〜10点という範囲は、それ自体が実はイイ子度が高目です。

したがって、多くの日本人が「自分らしさ」を感じられずにいます。

状況によっては神経症になりやすかったり、身体症状を持ちやすくなります。

せめて6点・7点にすると、少し樂になるはずです。

 

11点以上の人は、イイ子度が高目です。

日本社会に生きるのであれば、せいぜい7点〜10点でいい訳ですし、

11点以上イイ子である必要はありません。


つまり、11点以上は過剰適応と云えるかも知れません。

すでに、ご自分自身でも苦しくなっているかもしれません。

心理的な苦しさを自覚していない場合には、

身体症状として出ているケースがあります。

けっして人間嫌いではないのに、

何故か人といると疲れてしまうことが多いかもしれません。

 

15点を越えようになると、

相手や環境次第では、抑うつ(うつ)的になりやすいと云われています。

14点は15点に近いと考えるべきです。

 

イイ子度が高い方は、

気に入られるために、仲間はずれにならないために、

自分を分かってもらいたくて、自分を抑えて生きて来た方です。

15点以上の人は、特に自分の気持ちや感情というものを

ほとんど出さないし、出せないかも知れません。

あるいは、過去のなんらかの傷つき体験によって

自分の感情を出すことに「こわさ」を持っているのかも知れません。

 

 6点以下はイイコ度が低いとみます。

しかし、6点は、7点に近いと考えた方が良いかも知れません。


この点数の低い方は、日本社会では、

「率直で正直な人」と思われるか、あるいは「我儘で自分勝手な人」と思われか、

どちらかになりがちです。そう思っておくと間違いないでしょう。


イイ子度の高い人からは、少し苦手意識を持たれる場合もあるかも。

でも、本人は、どうせ全員に好かれることなんか出来ないんだから・・・

と考えているので、余り気にしなかったりします。

周囲の多くの人は7〜10点の人だと理解しておくと、良いでしよう。

「率直で正直な人」と、あなたを受け止めてくれる人を大切にすることが、

幸せになる道です。


この点数が低い人は、出るところへ出れば「云いたい放題」の人、

とも云えるでしょう。

つまり基本的には、云いたいことが云えずに欲求不満をため込む、

という人ではありません。

また、そうした状況にいられる人ではありません。

 

WHO(国連の世界保健機関)の職員を対象にした調査では、

平均が2点だったということです。

 

                     2番 対人依存行動特性

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ここでは、対人依存的行動特性の程度をみています。


誤解していただきたくないのは、

依存心そのものが悪いわけではありません。

あたかも、依存心そのものが

なにか悪いことのように考えられる風潮があります。

わたしたちは、誰もが互いに支え合い、助け合いながら生きています。

一人だけで、孤立して生きている人はいません。

ただし、過剰な依存心を抱えていることは、

自分自身を苦しめることになり、いろいろな問題を生むことになります。



■ 
4点以下を対人依存度が低いとみます。

相手に過度な期待を持たない人です。


日本人で4点以下の人というのは、

なにかを乗り越えることで自己成長を遂げ、

生き方やご自分を変えてきた人かもしれません。


あるいは、若いときから、周囲と対立しながらも自分の生き方を貫いてきた・・・・

親の仕事の都合や、教育方針などで、小さな時から

自分のことは自分でやってきた、やらされてきた・・・・

という場合もあります。


基本的にマイペース型で、割り切りが早く、自己決定心が強い人です。
 
このタイプの人には、必要な情報を与えてあげさえすれば
 
あとは自分で判断し、

物事を進めていきます。人に干渉されることを嫌います。

ただし、時と場合によっては「暴走」になることがあります。

バランスのとれたパーソナリティーが必要です。



■ 
6点〜10点  対人依存度が強いと判断します。

■ 
11点以上  対人依存度が非常に強いとみます。


対人依存心が高すぎるということは、自分の主体性が生まれず、

いわば「あなた任せ」の生き方や行動になるため、

無力体験をとても味わいやすくなります。



対人依存度が強いというのは、イイコ度が強いと同様に、

慢性ストレス源を抱えているようなもかも知れません。

なぜなら、他人は、自分が勝手に願い望むようには

都合よくは動いてくれないものです。

他人とは、けっして自分の思い通りにはならない存在です。



対人依存度が強くても、身近にそれを満たしてくれ相手がいると

精神的に安定していられます。

そうした人の存在に支えられることで、とても強気に振る舞えたり、

対人依存度が低いかのように見えることがあります。


しかし、そうした相手を失ったり、また、そうした相手が存在しない時には、、

不安感があられやすくなります。

イライラしたり、孤独感に襲われたり、心理症状を出しやすくなります。

11点以上の場合には、抑うつ的になりやすいと云われます。



 対人依存度の点数が4点以下の人でも、

実は、「隠れ依存心」が存在することがあるので、注意が必要です。

愛情欲求を諦め・押し隠すことで、自立心を築いてきた方は

自分の中に存在する愛情欲求を否定しながら生きています。

こうしたときに、隠れ依存心につながります。


たとえば、家庭では良き夫や父親を演じながら

満たされない愛情欲求を、愛人によって満たす・・・という方もいます。

わがままを云うことで、相手の関心を得ようとする人もいます。
 

対人依存が低く、イイコ度も低い人は、

「口は災いの元」を振りまくタイプの人かもしれません。

また、人の話をよく聴かないところがあるので、

自分の短所をよく理解しておくことが、社会的な成功に結びつきます。



対人依存度とイイ子度とは、理屈的には相関することになります。

対人依存度が高ければ、イイ子度も高目のですし、

どちらかが低ければ、もう一方も低め目になるはずです。

でも、実際には、片方が高いのに、片方は低目か、さほど高くない、

という結果の出るケースがたくさんあります。


そうした場合は、

「どういうわけで・・」と自己理解へのきっかけや糸口になります。

たとえば、対人依存度は高いけれど、イイコ度が低い場合には

ひとつには、もしかすると

あなたを受け止めてくれる人が身近に存在するのかも知れません。

そのため、どちらかが低めに出る、ということもあります。

会社の経営者(オーナー)や、いわゆる頑固親父と云われる人などには

このタイプの方が結構多かもしれませんね。

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