過敏性腸症候群について


大腸は心の鏡である

欧米では1800年代のはじめ頃から、
心理的・精神的な要因が胃腸の働きに影響を及ぼすことが知られていた、と云われています。

心身医学には、むかしから
「 大腸は心の鏡である 」という言葉があります。

なぜなら、「 患者の精神状態を知るには、表情を見るよりも、レントゲンで大腸の動きを見た方がよく分かる 」と云われる通り、大腸の動きが感情の動きに、ひどく敏感に反応するからです。

感情とは、不安、怒り、緊張、喜び、興奮、悲しみ、
などのことです。
そして感情のよりエネルギーの大きなものを情動と呼んでいます。

腸の運動機能は身体的な疲労や、不安・緊張・恐怖などの心理的刺戟によって容易に変化します。授業中や通勤通学途中の電車などで、急な腹痛・下痢症状で悩む人は少なくありません。
( 苅部正巳 心療内科 )

感情に密接に結びついているものに神経性下痢があります。
その主な症状は、食後、軟便あるいは下痢便があり、これが長期間つづくことです。
しかも、神経性下痢は、精神的な興奮、緊張、不安などに際して、ひどくなる傾向があります。長く下痢を続けているにもかかわらず、栄養状態は良好です。
特有なことは、レントゲン検査の目的で造影剤を飲ますと、すごく早く大腸を通過して、直腸
( 肛門の手前 )まで達することです。
ある神経性下痢の患者さんの例では、造影剤を飲み下してから一時間半で、すでに直腸に達しました。普通は十四〜十八時間ぐらいかかります。
要するに、腸管が非常に過敏な状態になっているわけです。
( 池見酉次郎 / 心で起こる体の病 )

過敏性腸症候群とは、
腸自体にはとくに病変・疾患などは見られず、
( 器質的な病変は見当たらない、という云い方をします )
その働きや動きに、失調や乱れがみられるものです。

便秘や下痢、あるいはそれを交互に繰り返したり、
ガスがたまりやすい、などの症状がみられます。

一時的、一過性的にあらわれる場合もありますが、
長期間、慢性的に繰り返す人たちも多くいらっしゃいます。

過敏性腸症候群は、心身医学的には「 心身症 」として扱われていますが、むしろ、現代の代表的な「 神経症 」と云えるでしょう。

神経症に近い病気でありながら、心の悩みとしてでなく、身体の病気になっているものがある。心身症といわれるものである。
( 中井久夫 精神科医 )

ですから、精神的なストレスや悩み、
慢性的な不安や緊張などが背景にあっての場合には、
過敏性腸症候群ばかりでなく、他の自律神経症状やストレス症状が、
あわせて見られる場合は多くなります。

過敏性腸症候群の患者は、頭痛、動悸、等々の多彩な身体症状、抑うつ感、不安感、不眠、焦燥感などの精神症状をもつことも多い。
( 自律神経学 )

下痢とは保護的な働きをするもの

過敏性大腸症候群ばかりでなく、いろいろなところで
たとえば「 下痢と便秘 」と、並んで記されます。

しかし、心身学的・生理学的には、
その役割や意味はまったく異なるものです。

便秘は「 交感神経の亢進 」とかかわりがあります。
良いことはなにもありません。

しかし下痢は、副交感神経反射、つまり身体や神経が、
自分を保護するために働いている場合があります。

たとえば、悪い物を食べた時、あるいは、体内にいれてはいけないものが入ってきたとき、大腸は下痢を起こして排出しようとします。

ですので、ウィルス感染のときには、
必ずと云っていいほど下痢が起きます。
無理に下痢を止めてはいけない、と云われる所以です。

こうしたことは、食べ物だけではありません。
「 精神的な異物( 緊張や不安など ) 」を緩めよう、解除しようとして、下痢という手段を使うことは、身体にとって重要な働きになります。

ちなみに、口から肛門に至る消化器系は、
一本のホースのようになっているため、
消化器系の内側は、体内ではなく体外、身体の外になります。

過敏性腸症候群と痛み

過敏性腸症候群は、下痢や便秘などがあるばかりでなく、
下腹部に重苦しい圧迫感 ・ 圧迫痛を感じたり、
下腹部を押すと、鈍い痛みを感じることがあります。

自律神経の過度な緊張が、大腸の筋肉に伝わって、大腸が局部的に、ひどく収縮したり、痙攣(けいれん)的な動が生じているからです。

それが大腸に、内臓痛を引き起すことになります。

下痢や便秘はないけれど、
一時的な心身のストレス、精神的疲労によって、
上のように、大腸の圧迫感や痛みを起こすこともあります。

自律神経( 交感神経系 ・副交感神経系 )の神経の先端は、
大腸の神経系にも枝を伸ばして接していいます。

そのため、自律神経からの強い刺戟が引きがねとなって、大腸の動きや働きに、影響を与えることになります。

時によっては、食事の後だとか、緊張・興奮した時などに、
下腹部( 大腸 )のあたりに、キリキリ締め付けられるような圧迫痛が起こったり、同時に、急な便意に襲われる、ということもあります。

便意を無理に我慢していると、
キリキリした締め付けられる痛みが、一層強まります。

ただ必ずしも、そうした痛みや圧迫痛のないケースもあります。

ガス溜まりによる痛み

ガスが大腸の一ヶ所に集まって、
痛みを感じるようなことも、日常ではよく見られます。

大腸はくねっているために、構造的にガスが集まって、ガス溜まりを作りやすい部位というのが、どうしても出てきます。
ガスが一ヶ所に集まったところでは、風船のように腸がふくらんで、内側から大腸を圧迫して痛みを生じることがあります。
また腸が膨らんで内臓を圧迫し、内臓通を起こすこともあります。

そんな時には、
歩いたり立っている時には、座ったり身体を寝かせてみる。
横になっていた時には、立って歩いたりしてみると、
一ヶ所に集まっていたガスが、少しずつ分散していきます。

腰痛との関連

過敏性腸症候群を持つ人の中には、
腰の重さや腰痛を自覚するケースも多くなります。

上でも触れているように、自律神経系の亢進 ・ 緊張によって、大腸の筋肉に、過度な収縮や痙攣的な動きが生じることで、大腸に鈍い内臓痛が生まれます。

それが「 関連痛 」として腰部に出てくることになります。

たとえば、胃や膵臓の具合が悪くなると、その裏側の背中に
圧迫感や重さ ・ 鈍い痛みを感じるようになります。
これも関連痛です。

こうしたことをご存じないと、
背中の痛みを、背中のコリや筋肉痛と勘違いするケースがあります。

消化管の運動や分泌の調節には中枢神経系( 脳と脳に直接つながる神経系 )が関与し、さまざまなストレスを要因とする消化管の機能異常が見られる。過敏性結腸症は、腹痛と下痢、便秘などを主症状とするもので、ストレスとの関連が高頻度にみられる。
( 最新自律神経学 )


誤解されることがありますが、
食事をとった後に便意をもよおしてくること自体は、
むしろ正常で自然な動きです。

ですから、ちいさな子どもなどは( 腸が短いこともあって )時間をかけてご飯を食べているときに、途中でウンチをしたくなったりします。

消化器系( 食道・胃・胆嚢・十二指腸・大腸 )は、
連携して動き働いているので、食べ物が胃に入ってきて、胃の運動が活発になると腸も活動に動きはじめます。

ただし、そこで出てくる便が固形のものでなく、
粥(かゆ)状だったり、下痢状になっている時には、大腸が過敏状態になっているあらわれです。

 

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