東京都品川区のカウンセリング・ルーム「カウンセリング森のこかげ」の、「気分の波」のある体質についてのご説明。

気分の波のある体質 〜 軽い躁と気分の低下 〜


気分の波のある体質」を持つ方がいらっしゃいます。

カウンセリングでお会いする機会は、
意外に多いように感じています。

ただし、この体質の方の場合に問題となるのは、
カウンセラーや精神科医にさえ、基盤にある気分の波が見落とさ
れることが多い
( 神田橋條治 )ということがあります。


「気分の波のある体質」とは、
「高揚感をともなうハイテンションな気分状態」だったり
「気分の低下」という、
気分の上・下を生じやすい体質のことを云います。

「高揚感をともなうハイテンションな気分状態」のことを
「 軽い躁 / 軽躁」とも云います。


軽い躁と気分の低下

躁(そう)には、
社会生活や人間関係にひどく支障が生じるようなものと、
一方で、本人も周囲の人も、
それが「躁」だとは分からないようなものとがあります。

後者を「 軽躁 」と呼んで、
前者の社会生活や人間関係が壊れたり、
ひどく支障を生じる躁状態とは、区別されています。

「気分の低下」の場合には、
典型的なものは、抑うつ感・抑うつ気分ですが、

しかし、それよりも日常的には、
不機嫌さ・イライラ感・焦燥感、怒りっぽさ、などとして
現れることが、多いかもしれません。

そうしたこともあって、
「(自分を)
不機嫌うつ病なんだと思ってた
そう打ち明けてくださる人もいます。

関連ページ 抑うつとは/抑うつ気分・抑うつ状態

ですから「気分の低下」を、
抑うつ感としか見ていないと、
気分の低下の現れ方を、うまく掴めないことになります。


生まれ持っての「体質」

こうした「気分の波のある体質」は、
体質と云うように、
生まれ持っての生理に根差したものと考えられています。

遺伝的な部分の多いことも云われています。

そしてわたしの経験では、ご本人自身も、
ご自分が「気分の波のある体質 」だということを、
よく分からずにいらっしゃることが、ほとんどです。

そのため中には、ご本人自身が気分の波に翻弄されて、
苦しんでいる場合があります。
 

たとえば、
このように打ち明けて下さる方がいらっしゃいます。

気分に波のある体質かどうか、自分ではよく分からないです。
職場でハイテンションだけれど、家に帰って一人になると落ち込
んで、繰り返し職場のベランダから飛び降りるイメージが出てく
る、ということはよくあります。
あと、「やりすぎてしまう」というのはとてもよく分かります。
先生がおっしゃっていた「人懐っこい」ということとも関係があ
るのかもしれませんが、私が「面白いキャラ」として何かをした
ことで、職場の人たちが喜んだとして、その時に、私の中に、
抗い難いうれしい気持ちが湧いてきて、もっと、もっと、と自分
を駆り立ててしまうことはあるように思います。そして、自分が
すっかり必要以上に「面白キャラ」になってしまったことに、
後から後悔したりして。
誰でも気分の波があると思うので、私が特別に気分の波がある体
質なのか、ということが自分では判断ができないところではあり
ます。
ただ、確実に言えるのは、私の母は恐ろしく気分の波がある人だ、
ということです。
私が小さいころ、ふいに不機嫌になったり落ち込んだりして、
私はそれが自分のせいだと思って、母の機嫌がよくなるまで一緒
に落ち込んで、顔色をうかがっていました。


あるいは、
こんなふうにご自分を語って下さる方も、おられます。

ズドーンと落ち込む、ワーっとハッピーになるっていのうは、
しょっちゅうあって。ボクの父と母は●●出身の人間で、
でもボク自身が生まれ育ったのは関東なんですけどね。高校生く
らいまでは、自分のこの感じと、東京の人の感じが合わないこと
の違和感を感じることが多かったですね。でも大学に入って、
地方出身者なんかと出会うようになると、なんかこの波が合うヤ
ツがいて、それがだいたい間違いなく●●の人間なんですよ。
だから、そういうことってあるんですかね。
ポンポンポンと即断即決の感じとか、カーっと怒ってボロクソ云
い合って、わんわん泣いて肩抱き合って仲良くなるみたいな、
ことのほうに居心地の良さを感じるんですよね。


これは「体質」ですので、
いろいろな性格の人の中に
この体質を持つ方たちが、いらっしゃいます。

ですので気分の波、という体質をひとつ取っても、
あらわれ方やその程度も、人によって様々です。

どのくらいだったら、どうだったら軽躁状態か、
という「客観的な基準」があるわけではありません。
「いつものその人(自分)と比べて」ということになります。


なかには、傍(はた)からは、
そんな風にはまったく見えない人もいますし、
元々そういうハイテンションな性格の人、と
周囲から見られている人も、いたりします。

たとえば、
専門学校を卒業後、23歳で結婚。主婦業のかたわらスタイリ
スト、ファッションアドバイザーの仕事をし、34歳から54歳まで、
某大学の講師もつとめた。
元気印の人間で通っており、クラス会の幹事を毎年引き受け、友
人たちからは、人の10倍は働くなどと言われていた。車の運転を
好み、高速道路を飛ばして走るのが何よりのストレス解消法であ
った

( ある症例報告からの引用 )

生涯を活動的な軽躁状態でおくったように見える人にも、ひそか
に一室に閉じこもって、うつに苦しんでいるときがあるのを、
まわりが気づいていない。

( 中井久夫 精神科医 )

ハイテンションな気分と元々の性格とが合わさって、
人によっては、せっかちで、じっとしているのが苦手。
そのため身近な人からは、
「 いつも忙しそうに動き回っている 」だとか、
「 なんだか落ち着きがない 」みたいに、
思われていることもあります。

「すぐに戻ってくるから、ここで待っててね」と云っておくのに、
いつも戻って来るといない。
何処かへふらふら行ってしまってその場で待てない。
などという方もいらっしゃいます。


カウンセリングの場から

この体質の人たちには、
個性的な魅力を備えていたり、
異性として人を惹きつけるものがあったり、
特異な才能を発揮したり、仕事で独自の業績を残したり、
という方たちが多くいらっしゃいます。

軽い躁的な面が、クリエイティブな創造性として発揮されるこ
とも、けっして珍しくありません。

そうした「 持ち味 」「 能力 」を、
より良く生かしてゆくためにも、
この体質と上手に付き合ってゆくことが、大切になります。

そのためには、まずご自分の体質について、
理解してゆくことが、大切かも知れません。

そのためにも、
本来はカウンセリングは大切な場になるものですが、
しかし、既に記しているように、
カウンセラーや精神科医にさえ、基盤にある気分の波が見落とさ
れることが多い
(神田橋條治)のが現状です。

ですので、
カウンセリングに行ったり、クリニックを受診しても、
間違った対応や治療をされて、かえって状態を複雑化させたり、
間違った自己像を植え付けられてしまう、
ということが、しばしば見られます。

そのために、
中には人格障害という見立てをされてしまい、事態が泥沼化して
いる場合がしばしば見られる
(神田橋條)ことも
起きがちです。

発達障害と思われていたケースにも、
出会ったことがあります。


空回りする、止められない

軽い躁的な面というのは、
上にも記しているように、
クリエイティブな創造性、発想の豊かさ、として発揮されたり、
周囲の人からは、コミュニケーションが上手い、と
見られたり、評価されたりする人もいます。

ですので、たとえば、
初対面の人ともその場で意気投合して、
盛り上がって仲よくなってしまう、ことがあります。

(ただし、本人自身は逆に、人とのコミュニケーションは苦手
 だと思っていたりします)

しかもハイテンションな気分状態というのは、
「 調子がいい 」「 気分がいい 」と感じられるものです。

ですので、諸刃の剣のように、実は、
場合によっては、それが問題を生んでいることがある、とは
なかなか気づかないところがあります。

何故なら、躁は、軽い躁であっても必ず、
拍車がかかって空回りしてゆく
止まらず(止められず)やり過ぎていく
という性質があるからです。


たとえば、或るケースでは、
人のちょっとした失敗やドジを目にすると、愉快になって思わ
ずそれを指摘しているうちに、次第に高揚した気分状態になって
止まらなくなって、何度も何度も繰り返し云い続けてしまい、
相手をひどく落ち込ませるか、ひどく怒らせてしまう、という人
がいらしたりします。

高揚したハイテンションな時期に、
いろいろ思いついて、何か計画を立てたり、
その気になって始めたりしますが、
そうするうちに気分の低下が訪れて、
始めたはいいけど上手く続けられなくなったり、
やりかけのままになったり、を繰り返す場合があります。

それだけなら別によいのですが、
場合によっては、そのツケを後で払わなくてはならない事が、
出てくることがあります。


気分の低下とうつ

上に記したような、
軽い躁・ハイテンションな気分状態のあとには、
たいてい「 気分の低下 」が訪れることになります。

ひどい感情のたかぶりは、往々にして低調の前にやってきます。
 云いかえると、高調は低調に転化するのです

(低調な気分は)イライラ感に引き続いてやって来ます。
 ぼーっとして、何もする気になれない

気分の低下の時に、
身体症状(自律神経系の症状)をあらわす方もいます。

気分の波( 気分の循環性 )が、
ある周期をもって訪れる人もいます。
ある主婦は三週間ごとの気分の上下を、三十代から繰り返して
いた。調子のよいとき、テンションの高い時期には、早朝三時
からすっきりと目覚めて、掃除、洗濯などの家事、そして畑仕事
と、どんどん身体が動いてこなしていく。近所の人付きあいも積
極的にこなしていく。
しかしそのあとの三週間は、頭の重さ、嫌な気分がひどくなって、
蒲団から出られなくなる。真面目なこの人にとって、何も出来な
い自分はみじめで情けなく、自責の念にかられる。自分はダメだ
と責めて、死にたくなってしまう。そうするうちに、夕食の片付
けがスッスッとできたと思うと、調子のよい周期に入っている。
( 或る看護の雑誌から )


気分の低下が更に深くなっていくと、
後悔や不安がひどく湧いてきて、
ぐるぐる堂々めぐりに陥ってゆくことになります。

自分自身をダメだと責め、
過去の出来事がひどく後悔されたりします。

人のちょっとした態度がきっかけになって、ガッカリし、
皆から距離を置かれてしまったような、除け者にされてしまっ
たような気分になって、自分はダメだという劣等感が起こって
くる

過去や将来について、ちよっとした不安が浮かぶ、それが
グルグル連鎖反応を起こして、悪循環の思考に入ってしまう
ことがある

( ある症例報告から )

細かいこと小さなことがひどく気になって心配や不安が頭から
離れなくなる。
そして苦しい悪循環に陥ってゆく。

このような状態の時に、
クリニックを受診するケースもあって、
「不安」を主な症状として訴えることが多いために、抗不安薬
が処方され、常用した結果、不安に耐える力をますます失って
しまっている人々にも、数多く出会った。

( かしまえりこ カウンセラー )


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2013 11 初稿

 

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