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		 「 大問題 」からでなく 〜 自分に優しく 〜 
		 カウンセリングでは、小さな変化、ほんの少しの違い、 というものを、 大切にしていきたいと思っています。 
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		カウンセリングに対しては、残念なことに、 いろいろな先入観があるようです。 
		そうした先入観のひとつに、 「 自分の問題と向き合わなくてはいけない 」 というものがあります。 
		カウンセラーの中にも、しばしば このようなことを発言されている人たちがいます。 
		そうしたことを発言するのは、 もしかすると初学者くらいの方が多いかもしれませんが。 
		しかし、果たしてどうでしょう。 
		もしも、そうしなくてはならない、とすると おかしな矛盾が出てきます。 
		それが、ご本人にとって「 向き合える 」程度のもの、 であればよいでしょうが、 ご本人からすると、 どうにもならないように感じている事柄、だとか 重くて触れられずにいる事柄。 
		あるいは、 そもそも何が問題なのか分からずにいること、であるほど、 そこから抜け出すことを、 諦めなくてはならない、ということになりかねません。 
		わたしは時折、カウンセリングの中で、 このように申し上げることがあります。 
		「 ○○さんにとっての " 大問題 " を  直接いじる必要はありませんよ 」と。 
		「 大問題 」を直接いじる必要はありません。 
		一見、それとは関係のないような、ささやかな事柄を、 少しずつ整理し消化してゆくうちに、 なんとなく「 全体が動いていく 」ということが、 人の心や内面には、起きてくるからです。 
		何故そうなるかは分かりませんが、 カウンセリングの経験が、それを教えてくれます。 
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		でもよく考えてみると、 その人から現れて出ているもの、であれば、 
		それが、心や内面に関わるものでも、 普段の何気ない行動のようなものでも、 そして、それが身体の症状であっても、 
		一人のヒトから現われ出ている限りは、 みんな一つひとつ、見えない糸でつながり合いながら、 存在し、生じているのではないでしょうか。
  みんな何かでつながり合っている、と考えた方が 自然なことのように思います。 
		「 少しずつ、自分の感情や考えを再認識できて、  これまで別々に感じていたものが、自分の中でつながってくる  ように思います 」 
		カウンセリングを続けてゆく中で、 そんなふうにおっしゃる方も、いらっしゃいます。 
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		そして、みんな相互につながり合っている、からこそ (もちろん、糸の太い細いの違いはあっても) なにも「 大問題 」を直接いじらなくても、 それとは遠くに在って関係のないような、 ささやかで小さな事柄が 少しずつ動いてゆく、変ってゆくだけで、 あなた全体が、いつの間にか 「 動いてゆく 」ことがあるものです。 
		ほんの小さな変化、ちょっとした違い、 というものの積み重ねが、 わたしたちの内面を、知らずしらずのうちに、 「 動かして 」ゆくからです。 
		それがカウンセリングにおける、 自分に優しい、ということの意味だと思います。 
		わたしたちは、大人になってしまうと、 誰もが、結局は毎日同じことを繰り返しながら 日々を送り、日を暮らしているものです。 
		だからこそ、カウンセリングでは、 ほんの小さな変化、ちょっとした違い、というものの価値を、 大切にしていきたいのです。 
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		それに、「 大問題 」というのは、 ことばを換えると、 かたい鎧(よろい)のあるところかもしれません。 
		鎧とは、その人にとって、何かとても必要があるからこそ ( 必要があったからこそ )存在するものです。 
		ですから、 無理に取り除こう、なくしてしまおう、とすることは 大変な間違いです。 
		必要がなくなったところから、自然に取れていくことが、 とても大切なのです。 
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		ご本人が「 大問題 」「 難しい問題 」と 感じていらっしゃるようなことであればあるほど、 
		直接いじらずに、 糸でつながり合った遠くに在るささやかな事柄から 始めていくことが良いのです。 
		全体が、少しずつ動いてゆく。 小さな違い、ほんの少しの変化を、大切にしながら。 
		  
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