適応障害について
皇太子妃の雅子さんの病状も 初期の頃は「 適応障害 」と発表されていましたね。
適応障害(adjustment disorder)とは、以前から 「 反応性の○○○ 」と呼ばれてきたものと重なります。
たとえば、反応性の抑うつ、反応性の身体症状、 反応性の情緒障害、反応性の食欲不振、等々。
「 適応障害 」とは、 たとえば、職場や学校、家庭などで、 本人にとって、なにか精神的なストレスやもたらす出来事が 繰り返されることで、 それに引き続いて生じるようになった状態・症状です。
そして、そうした状態や症状のために その場( 職場や会社、学校やクラスなど )で 著しい困難を生じるようになっているものを、 適応障害と呼んでいます。
ですから、適応障害として表にあらわれ出るまでに、 ご本人は、自分なりにかなり耐えていた、という状況がある、 ということを、察してあげる必要があります。
なお細かなことですが、 同じストレス障害でも、 外傷後ストレス障害( PSD )は、適応障害には含みません。 また、大事な人との死別等による反応も 適応障害とは呼びません。
適応障害には、一時的、一過性的な意味が含まれています。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 一時的、一過性的なイメージ
適応障害と云うときには、 本来は、一時的・一過性的という意味を含んでいます。
一時的・一過性的とは、 状態を複雑化していくような他の要因が現われずに、 葛藤やストレスをもたらした何かが解決・軽減されることで、 症状が消失したり軽減されて、すみやかに改善されるもの、 という意味があります。
ですから雅子さんも、 当初の頃は適応障害と呼べるものだったのでしょうが、 それがそれでは済まなくなっていった。
さらに葛藤やストレスを深める状況があり、 状態が重症化・複雑化していってしまった、 ということだと思われます。
症状や状態が複雑化・重症化とてゆく、とは 「 こじらせる 」ということです。
中医学(中国医学)には「壊病(えびょう)」という言葉があり、 壊病という言葉も、つまりそういう意味になります。
考えてみれば雅子さんの場合などは、 まわりの環境が変わることで、 ストレス要因が解消されたり軽減するのを期待することは、 はなはだ難しく、むしろ不可能なことかもしれません。
このような長い間心の休まることのない状態の人に対して、 先日のニュースによると、静養先に向かう途中の駅の構内で 「 税金泥棒、皇室から出て行け 」と 罵声を浴びせた男性がいたそうです。
適応障害とは、上に記したような意味ですので、 適応障害としてみられる症状、状態は様々です。
適応障害としての抑うつ、自律神経失調症、あるいは引きこもり、 食欲不振、不眠、行動障害 (暴れるだとか、キレてさわぐ、物をこわす、など)、 などさまざまなものが見られます。
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「 ここはどうしても自分に合わないな 」 「 これはどうしてもイヤだ 」 「 ここは絶対に我慢がならない 」
そう感じたら、自由にそこから離れられたり、 自由に適当な距離をとれる環境では、 当然ですが適応障害にならずに済みます。
症状によっては、薬を服用することで 一時的に症状が軽くなることもあるかも知れません。
しかし、ご本人の内に抱えるストレスや葛藤、問題が 解消・消化されないままでは、望ましいものではありません。
「 時は薬 」で、自然解消、自然解決してゆけば良いのですが、 適応障害の場合には、いずれにしても 薬は一時的なものと考えるべきかも知れません。
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