ママは最高 〜 子どものこころ 〜
・ ・ ・ ・ 「 小児科診察室 」という 薄くってちっちゃな小冊子のシリーズがありました。 定価が一冊100 円。
とってもいいものなのに、きっと余り読まれていないだろうし、もうすでに手に入らなくなっているかもしれません。 すごくもったいないと思い、 ここに一部を転載させてもらうことにしました ・ ・ ・ ( 2003年記す )
○ ふたりの波長 ・ ・ ・ ・
赤ちゃんには、立派な感性があり、 お母さんは自然に、波長を合わせています。 恋人とのふれあいのように、お互いに全身で感じているのです。
赤ちゃんは、あなたによく笑いかけますか? 手足をばたばたさせますか?
赤ちゃんといると、優しい気持ちになりますか?
それなら、ふたりは音色のあった二重奏のように 心が溶けあっているのです。 赤ちゃんの心の発達にはこれが最高に大切なことです。
○ 育児のいらいら ・ ・ ・ ・
育児には、いらいらがつきもの。 お母さんが、 なんでもきちんとこなそうとし過ぎているとそうです。
赤ちゃんには、お母さんの瞳が輝いていれば 家がピカピカである必要はありません。
良妻賢母に見えるお母さんと赤ちゃんが、 意外にパッピーでないことが、多いのです。 なんて、もったいないことでしょう。
あなたが赤ちゃんと楽しく一緒にいるとき、 赤ちゃんは、人がなんて言おうと、 あなたが最高のママであると感じています。
○ だっこ ・ ・ ・ ・
お腹が空いていないのにだっこと泣く赤ちゃんは、 決してわがままではありません。 胎内でゆらゆら羊水に揺られていた楽しさを よく覚えているのです。
それに比べて寝かされっぱなしは なんと味気なく居心地の悪いものでしょう。
お母さんに抱っこされてその胸の温もりにひたる時、 赤ちゃんは、ほっと深い安心感に包まれます。
どの子も、ぐずったり、カンシャクをおこして どうにもならない心身の不調を、もてあますときがあります。 その時こそ、十分に抱っこして 安心な世界を確認させてあげて下さい。
○ 心のおむすび ・ ・ ・ ・
おむすびは、炊き上がったご飯を あつい、あついと冷ましながら、手のひらで握ります。
これは赤ちゃんの心の発達に似ています。
心のご飯を炊き上げるのが生後一年半ぐらい。
人見知りの七・八ヶ月は、心がぐつぐつ煮え、 あんよの一歳過ぎには、ふっくらした心が生まれ、 一歳半には、喜怒哀楽の感情が炊き上がります。
だから、一歳半の「イヤ」は、すこやかな心のしるし。 炊き上がったご飯があつくて、手に負えない時期です。
自分の行動や考えを邪魔されたら、ひどく傷つき ひっくり返ってわめきます。 暴君のように、えばっているかと思うと お母さんの姿をトイレの中まで追いかけます。
赤ちゃんの頃に比べて、わがままになった? そうではありません。
情緒が出そろい、自我が芽生え、赤ちゃん版の思春期です。
ここでの幼い時の経験や心の交流が その次にくる思春期の、心のベースになっていきます。
手のかからないおとなしい子は、 逆に、生煮えの心ではないかと心配です。
おいしい心は、あつあつの感情を忍耐強く受け止めて 冷ましながら握るのです。
○ 家庭は港 ・ ・ ・ ・
どのお母さんも、 早く子どもが大きくなって欲しいと思います。
でも、人の子どもは、動物よりも手がかかるからこそ 心や言葉や文化が受け継がれ発達するのです。
とくに育児では、目に見えて何かができるかより、 むしろ、いかに心でふれあうか。 そのプロセスが大切です。
泣きたいときは、いっぱい泣いて 怒りたいときには正直に怒っていい。
淋しいとき、ぐずる自分を持てあます時、 お母さんの胸に飛び込み、 安心してありのままの自分がだせているなら、 それは、親への信頼のあかしでしょう。
子どもは、失敗やボロを出しながら、 いろいろな感情表現をとおして 親やまわりの大人の温かさを実感し、 愛されている自分に出会い、成長していくのです。
そのとき、子どもは安心できる港をもった気分になり、 外でどんな辛いことがあっても はね返す元気が出るのです。
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