ふたつの風邪 〜 感冒とストレス症候群 〜
風邪は、大きくわけると、 「 感冒(かんぼう)」というものと、 「 心身症 」もしくは「 ストレス症候群 」としての風邪、 というものがあります。
もちろん、このふたつが同時に重なりあう状態も、 あるかもしれません。
心身症とは、精神的なストレスだとか心身の疲労が、 発症の原因となっている身体の病気のことをいいます。
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感冒とは、ご存じのようにカゼのウィルスに感染して、 一時的に発症するものを指します。 普通よく云われている「 風邪 」のことです。
身体が普通の状態であれば、 たいてい、四・五日から一週間くらいで回復します。
ちなみに、感冒という言葉は、むかしの中国で、官吏(役人) が身体違和感で欠勤する際に、その届け出に記したものが元 だということです。
一方の、心身症・ストレス症候群としての風邪とは、 心身の疲労・精神的なストレスなどから、 一時的に引き起こされる身体症状を指します。
「 風邪様(かぜよう)症候群 」という云い方もされます。
心身症としての風邪は、 気象刺激に対する生体調整の失調ないし破綻であり、ストレス や疲労が関係し、頭痛、微熱、不快感、上気道炎、鼻炎、各種 のアレルギー症状、胃腸障害などの症状を一括すると、ほとん どストレス症候群に一致する、といわれている。 これに( 風邪ウィルスの )感染が加わったものを、感冒と称 している。 ( 上田宣子「 かぜとうつ病 」)
こちらの方も、軽いものでは数日で回復しますが、 ときには何週間もの間、治り切らずに 長引いているケースもよく見られます。
「 なかなか風邪が治り切らなくて 」と云って、 何週間も風邪症状をみせている場合には、 もしかすると、ストレス症候群・心身症としての風邪、 ということも考えられます。
いずれにしても、感冒だけであれば、 普通は、そのように長く続くことはありません。
そういう意味では、風邪とは、 最も身近なストレス症状の一つと、云えそうです。
そして、感冒でもストレス症候群の風邪であっても、 心身を休ませてあげることが大切なのは、 云うまでもありません。
たとえば、こんなこともあります。
ひどく忙しかったり、ひどく大変だった時期を終え、 一段落したり、ひと休みしたとたん、 風邪を引いて寝込む、ということがあります。
気が緩んだから、という云い方がされてしまいますが、 これなども、心身症 ・ ストレス症候群としての風邪、 という意味合いのときが多いものです。
あるいは、人によっては、 一年に何回も繰り返し風邪を引いている、ですとか 風邪を引くと長引くことが多い、 という時には、 ストレス症候群、心身症としての風邪、 ということも考えられます。
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